銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 ……はい? 砂漠の神?

「私は、仲間の精霊と共に砂漠の神の元へ向かっている途中でした。ですが慣れない場所で仲間とはぐれてしまったのです。水の精霊である私には、この砂漠の聖域は耐えられなかったようです」


 仲間の精霊? 水の精霊? 砂漠の神の聖域??
 えっと、ええっと……。

 あたしは頭の中をグルグルさせつつ、今の会話の内容を必死に検討した。

 冷静になろう冷静に。

 ここは、あたしが居た世界じゃない。

 だからあっちの常識は、全然通用しないんだ。どんな話も、素直な心で受け止める柔軟な思考が必要なんだわ。

 つまりここの世界は、神様とか精霊とか、メルヘンな物が実在してる世界ってこと?

 この到底普通の人間とは思えない彼女は、水の精霊?

 あたしきはもう一度、素直な心でよーく彼女の姿を良く観察した。

 たしかに姿かたちや雰囲気から、水の気配を感じる。

 この強烈な熱気の中で、彼女の側に居ると少しだけ空気が涼やかで清々しいし。

 精霊、精霊、水の精霊。これが水の精霊?

 まさか、生きてるうちに精霊なんて存在に遭遇できるなんて。
 それにしても精霊って、本当に綺麗なのね。
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