銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 会った事も無いアグアさんって、さて、どんな気配なのやら。

 そもそもあたし、半分は水の精霊だけど半分は普通の人間だし、それでちゃんと感じ取れるのかしら?

 えぇっと、とりあえず美人の気配、美人の気配は……?

「あら?」

「しずくさん? どうしましたか?」

「なにかを感じる……」

「えっ!?」

「ような、気がする」

 うん、なにか感じる。感じるっていうより、気になるかなぁ?って程度なんだけど。

 あたしは、ひとつの通路の向こうを指差した。

「向こうの方向が気になるっていうか……」

「きっとそれです! アグアは向こうにいるんです!」

「でも確信がないんだけど」

「とにかくいってみましょう!」

 そ、そうね、とにかく行って確認するべきよね。

 暗くて気味が悪いけど。

「しずくさん、近くに人間はいないようですが、きをつけてください」

「ええ」

 誰にも見つからないように、円柱の陰に隠れながら通路を進む。

 ここは、あくまで敵の陣中。油断は大敵だわ。

 ジリジリ慎重に進むに連れて、どんどん暗さが増していく。

 暗がりに紛れられるのは好都合なんだけど……。

「どうですか? アグアの気配は?」

「わ、わかんないわ」

 暗くて怖いのよ~、かなり。
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