銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 ……ムカ。なにその態度。

 自分の立場が優勢だからって、いかにも自慢げな上から目線。

 特権意識が丸見え! これだから上流階級って気に食わないのよ!

「さあ、鳥目以外の言い分があるなら申してみよ」

「あ、あれは……」

「あれは?」

「あれは、つまり……」

「つまり?」

 頭の中で必死に言い訳を考えながら視線を動かしていると、ヴァニスの表情が目に映った。

 いかにも、バカにした風な薄目と口元を見たら、ますますムカっ腹が立ってきた。

 あたしが返答できないのを、あえて見越して追い詰めて楽しんでる。

 この男、やっぱり根性最悪! 絶対にここで負けたくないわ!

 どんな言い訳でも屁理屈でも捏ね繰りだして、言い負かしてやる!

 口喧嘩で男が女に勝とうなんて、500年早いんだって事を思い知らせてやるわ!

「あれは、つい、よ!」

「つい?」

「つい、出ちゃったのよ!」

「なにが?」

「ノームのクシャミよ!」

「……は? クシャミ??」

「クシャミした途端に、勢い余って蔓が飛び出ちゃったのよ!」

「……」

「人間だってクシャミした時、つい鼻水とか唾とか出ちゃうでしょ! ノームの場合は蔓が飛び出るのよ!」
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