銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 ふふ、これでどう!?
 さすがにクシャミまでは反逆には問えないでしょ!?

 飛び出た唾や蔓の方向をコントロールするなんて不可能だしね!

 さあ、これでもまだ自分の負けを認めないつもり!?

 胸を張るあたしを見ながら、ヴァニスは呆れ顔で溜め息をついた。

「そんな、子どもでも言わぬような持論をゴリ押ししてまで、自分の負けを認めたくないのか……」

 ……むか。

「まるで駄々っ子だな」

 ……むかむかっ。

「これだから、自意識の強い女は始末におえぬわ」

 むかむかむか――!!

 な、なにそれ!? さっき心の中で、あたしが思った事そのまんまパクリじゃないの!

 まるまんま返されて、余計に腹立つ――!

 拳を握り締めて屈辱感に耐えていると、また無表情に戻ったヴァニスが淡々と話し出す。

「お前にとって、あの土の精霊はよほど大事な存在らしいな」

「そうよ! 当然よ! ノームは大事な仲間なんだから!」

「だから生かしておく事にしたのだ。お前への人質としてな。その方が、殺してしまうよりもよほど利用価値がある」

 その言葉を聞いたあたしの胸に、屈辱感とは別の怒りがこみ上げる。

 人質? 利用価値?

 なんて男なの!? こんな卑劣な発言を堂々と言い放つなんて、恥知らず!
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