銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
ずらあ~っ!は、どこまでもどこまでも続いている。
いったいどこから出てきたのよ、この大人数。マラソンの街頭応援みたい。
ほとほと呆れていると、進行方向に両開きの分厚い扉が開かれているのが見えてきて、そこから外の景色が窺える。
どうやらヴァニスは外出するつもりらしく、扉へ向かって真っ直ぐ歩いていく。
彼と一緒に外へ出ると、頭上にはスッキリ晴れた綺麗な青空が広がっていて、思わずホッとしてしまった。
あぁ、いつの間にかもう夜が明けていたのね。
半地下の暗い牢屋の中じゃ感覚が狂ってしまって、時間の経過が良く分からなかったから。
「あれに乗るぞ」
空の青さと木々の緑に和んでいると、ヴァニスがそう言って前方を指差した。
城門の側に横付けされている、その乗り物を見たあたしの目が、キョトンと丸くなる。
……あれって……。
「なに?」
「馬車だ」
「馬、車?」
「馬車を知らぬのか? 馬車とは人を運ぶための、馬を利用した乗り物の事なのだ」
したり顔で説明するヴァニスに向かって、あたしは手と顔を横に振った。
いや、違うのよ。そうじゃないの。
馬車くらいは知ってるのよ。あたしも。
そうじゃなくて。車の方じゃなくて。
「あの生き物、なに?」
「だから、あれが馬だ」
「う……??」
うま? あれが、馬?
いったいどこから出てきたのよ、この大人数。マラソンの街頭応援みたい。
ほとほと呆れていると、進行方向に両開きの分厚い扉が開かれているのが見えてきて、そこから外の景色が窺える。
どうやらヴァニスは外出するつもりらしく、扉へ向かって真っ直ぐ歩いていく。
彼と一緒に外へ出ると、頭上にはスッキリ晴れた綺麗な青空が広がっていて、思わずホッとしてしまった。
あぁ、いつの間にかもう夜が明けていたのね。
半地下の暗い牢屋の中じゃ感覚が狂ってしまって、時間の経過が良く分からなかったから。
「あれに乗るぞ」
空の青さと木々の緑に和んでいると、ヴァニスがそう言って前方を指差した。
城門の側に横付けされている、その乗り物を見たあたしの目が、キョトンと丸くなる。
……あれって……。
「なに?」
「馬車だ」
「馬、車?」
「馬車を知らぬのか? 馬車とは人を運ぶための、馬を利用した乗り物の事なのだ」
したり顔で説明するヴァニスに向かって、あたしは手と顔を横に振った。
いや、違うのよ。そうじゃないの。
馬車くらいは知ってるのよ。あたしも。
そうじゃなくて。車の方じゃなくて。
「あの生き物、なに?」
「だから、あれが馬だ」
「う……??」
うま? あれが、馬?