銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
目の前にはヴァニスの剣。
そして周囲には振動する石柱。
あぁ、にっちもさっちも……。
唸る音が高まり、広まるにつれて、空気がどんどん張り詰めていく。
進退窮まったあたしの額に汗が浮かび、手の平もジットリと湿った。
どうしよう!? どうする!?
このままこの場所にいたら危険だわ! でも逃げたら容赦なく斬り付けられる!
こうなったら、いちかばちか、剣から身をかわして走って逃げ出そうか?
……でも、逃げ切れる?
ヴァニスの冷静沈着な目が、あたしを逃すまいと睨んでいる。
片手で剣を構えているだけなのに、腹の底が冷えるような威圧感を感じた。
きっと相当な腕前なんだろう。素人のあたしが剣をかわすのはきっと不可能だ。
仮に一瞬逃げおおせたとしても、馬に乗った護衛の兵士達に、あっという間に取り囲まれてしまうのは明らかだ。
どうしよう。逃げられない。
焦る間にも石柱はますます激しく唸り、振動を続ける。
緊迫して高まった空気が皮膚を刺激して、痛みまで感じるほどだ。
何かが、確実に迫っている。何かが。
それを感じながら、どうにもできない。
額の汗がツゥッとこめかみを伝って、背中にも汗がジットリ滲む。
あたし、もしかしてこの場で死んでしまうの?
約束したのに。ジンに、必ず戻ると約束したのに。
ジンの笑顔が脳裏に浮かんで、胸が締め付けられるように、切ないほどに痛んだ。
あたしを見つめる銀色の瞳。風に揺れる髪。
そっと触れ合った優しい指先。
……会いたい。もう一度会いたい!
会えないままで死にたくない!
ジン! あなたに会わずに死ねない!
そして周囲には振動する石柱。
あぁ、にっちもさっちも……。
唸る音が高まり、広まるにつれて、空気がどんどん張り詰めていく。
進退窮まったあたしの額に汗が浮かび、手の平もジットリと湿った。
どうしよう!? どうする!?
このままこの場所にいたら危険だわ! でも逃げたら容赦なく斬り付けられる!
こうなったら、いちかばちか、剣から身をかわして走って逃げ出そうか?
……でも、逃げ切れる?
ヴァニスの冷静沈着な目が、あたしを逃すまいと睨んでいる。
片手で剣を構えているだけなのに、腹の底が冷えるような威圧感を感じた。
きっと相当な腕前なんだろう。素人のあたしが剣をかわすのはきっと不可能だ。
仮に一瞬逃げおおせたとしても、馬に乗った護衛の兵士達に、あっという間に取り囲まれてしまうのは明らかだ。
どうしよう。逃げられない。
焦る間にも石柱はますます激しく唸り、振動を続ける。
緊迫して高まった空気が皮膚を刺激して、痛みまで感じるほどだ。
何かが、確実に迫っている。何かが。
それを感じながら、どうにもできない。
額の汗がツゥッとこめかみを伝って、背中にも汗がジットリ滲む。
あたし、もしかしてこの場で死んでしまうの?
約束したのに。ジンに、必ず戻ると約束したのに。
ジンの笑顔が脳裏に浮かんで、胸が締め付けられるように、切ないほどに痛んだ。
あたしを見つめる銀色の瞳。風に揺れる髪。
そっと触れ合った優しい指先。
……会いたい。もう一度会いたい!
会えないままで死にたくない!
ジン! あなたに会わずに死ねない!