銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
生き残ったって事は、過去に内乱か何かが起こったのかしら?
ありえるわね、王家にありがちな権力闘争だ。
それでヴァニスと妹を残して、他の家族は皆殺しにされてしまったわけ?
でも同情はしないわ。
だってそれは、ヴァニス自身が国民に対してやった事だもの。
さんざん人の家族を奪っておいて、自分だけ同情してもらおうなんて虫が良すぎる話よ。
そんな理屈は通用しない。
……まだ子どものマティルダちゃんに罪は無いし、気の毒だとは思うけど。
ヴァニスが片手を軽く上げると、侍女らしき女性が、すぅっと音も無く背後に近寄ってくる。
「雫を食事に同席させる。用意せよ」
「はい」
「体を拭き、着替えさせるのだ」
「承知いたしました」
ヴァニスが、チラリとあたしに視線を流して言った。
「どうも臭うのでな」
……!?
に、臭うって、あたしが!?
あ! あの地下牢のトイレの箱!
汚物の悪臭が充満してた。いやだ、あの臭いが体に染み付いちゃったんだわ!
「この臭いと共に食事をするのは、勘弁願おう」
慌てふためくあたしを横目に、ヴァニスは口元に笑いを浮かべて離れていった。
あ……あんたねぇ! なに笑ってんのよ!
誰のせいだと思ってんの!? あんな所に一晩突っ込んだ、あんたの責任でしょ!?
こっちだって本心じゃ、あんたと食事をするのなんてカンベン願うわ!
あたしは侍女に促されて移動しながら、ヴァニスの背中に向けて心の中で悪態をついた。
ありえるわね、王家にありがちな権力闘争だ。
それでヴァニスと妹を残して、他の家族は皆殺しにされてしまったわけ?
でも同情はしないわ。
だってそれは、ヴァニス自身が国民に対してやった事だもの。
さんざん人の家族を奪っておいて、自分だけ同情してもらおうなんて虫が良すぎる話よ。
そんな理屈は通用しない。
……まだ子どものマティルダちゃんに罪は無いし、気の毒だとは思うけど。
ヴァニスが片手を軽く上げると、侍女らしき女性が、すぅっと音も無く背後に近寄ってくる。
「雫を食事に同席させる。用意せよ」
「はい」
「体を拭き、着替えさせるのだ」
「承知いたしました」
ヴァニスが、チラリとあたしに視線を流して言った。
「どうも臭うのでな」
……!?
に、臭うって、あたしが!?
あ! あの地下牢のトイレの箱!
汚物の悪臭が充満してた。いやだ、あの臭いが体に染み付いちゃったんだわ!
「この臭いと共に食事をするのは、勘弁願おう」
慌てふためくあたしを横目に、ヴァニスは口元に笑いを浮かべて離れていった。
あ……あんたねぇ! なに笑ってんのよ!
誰のせいだと思ってんの!? あんな所に一晩突っ込んだ、あんたの責任でしょ!?
こっちだって本心じゃ、あんたと食事をするのなんてカンベン願うわ!
あたしは侍女に促されて移動しながら、ヴァニスの背中に向けて心の中で悪態をついた。