銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
「マティルダ。雫」
「あ! お兄様!」
姿を現したヴァニスの元へ、マティルダちゃんは大喜びで駆け寄って、赤く染まった頬で嬉しそうに色々と話し掛けている。
微笑みながら、いちいち頷いて聞いているヴァニスに、従者が遠慮がちに声を掛けた。
「ヴァニス王様、お時間が押しております」
「あぁ、分かっている。ではマティルダ、続きはまた今度な」
「え、ええお兄様。また今度……」
従者や護衛の兵士達に囲まれ、ヴァニスは歩み去っていく。
あたしもその後に続きながら、気になって後ろを振り返る。
あたし達を見送るマティルダちゃんの姿は、まるで置いてきぼりをくらった子犬そのものだった。
でも鳴き声を上げることもなく、じっと黙って我慢をしている。
マティルダちゃん……。
「雫、ノロノロするな。さっさと来い」
「……」
「なんだ? その、物言いた気な目は?」
「別にぃ~~」
たったひとりの妹に、こんな寂しい思いをさせるなんて。
やっぱり目を覚まさせてやらにゃダメだわ! コイツは!
『仕事』のひと言が、全てを許す免罪符だと思ってるのよね、こーゆータイプって。
そりゃ国王なんて職務は、普通と一緒に考えちゃいけないんだろうけど。
でもヴァニスの場合、やらなくていい仕事まで背負い込んでフル回転してるんだもの。自業自得だわ。
神様を消滅させるヒマがあったら、妹と一緒にいてやりなさいよ。
「あ! お兄様!」
姿を現したヴァニスの元へ、マティルダちゃんは大喜びで駆け寄って、赤く染まった頬で嬉しそうに色々と話し掛けている。
微笑みながら、いちいち頷いて聞いているヴァニスに、従者が遠慮がちに声を掛けた。
「ヴァニス王様、お時間が押しております」
「あぁ、分かっている。ではマティルダ、続きはまた今度な」
「え、ええお兄様。また今度……」
従者や護衛の兵士達に囲まれ、ヴァニスは歩み去っていく。
あたしもその後に続きながら、気になって後ろを振り返る。
あたし達を見送るマティルダちゃんの姿は、まるで置いてきぼりをくらった子犬そのものだった。
でも鳴き声を上げることもなく、じっと黙って我慢をしている。
マティルダちゃん……。
「雫、ノロノロするな。さっさと来い」
「……」
「なんだ? その、物言いた気な目は?」
「別にぃ~~」
たったひとりの妹に、こんな寂しい思いをさせるなんて。
やっぱり目を覚まさせてやらにゃダメだわ! コイツは!
『仕事』のひと言が、全てを許す免罪符だと思ってるのよね、こーゆータイプって。
そりゃ国王なんて職務は、普通と一緒に考えちゃいけないんだろうけど。
でもヴァニスの場合、やらなくていい仕事まで背負い込んでフル回転してるんだもの。自業自得だわ。
神様を消滅させるヒマがあったら、妹と一緒にいてやりなさいよ。