銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
ペタペタと手の平で全身を確認作業してるあたしに向かって、風の精霊がぶっきらぼうに言った。
「そんな心配しなくても、お前はちゃんと継承してる」
そう、なのかしら? でも実感も変化も、全然ないんだけれど。
……あったらあったで困るけど。
それにしてもこの精霊、なんだかさっきからずいぶん機嫌悪そうね?
「あたし、これで本当に精霊になっちゃったの?」
「正確に言えば、肉体は人間のままだ」
「人間のまま?」
「水の力を使えるようになっただけの、ただの人間なのさ。お前は」
『ただの人間』。
いや、嬉しいけどさ、それは。
自分が人外生物の仲間入りしたわけじゃないってことは、素直に嬉しいんだけれど。
でもね、なにか感じない?
棘を。
この精霊の、あたしに対する言葉と態度の端々に。
さっきからずっと、こう、ナイフの切っ先でツンツン突っつかれてるような、不快感を感じるんだけど。
そもそも、この人って風の精霊で間違いないの?
人じゃないけど。
「ねぇ、あなたが水の精霊が言ってた、風の精霊なの?」
「当然だろ。分かりきった事を質問するなよ人間」
……。
「どの世界でも人間ってのは、本当に愚かな生き物なんだな」
……ムカ。
「あぁ、お前は完全に人間ってワケでもないか。言うなれば半人間だな」
……ムカムカ。
「つまり、出来損ないの精霊ってことだが、まがい物でも無いよりマシだ」
……ムカムカムカッ。
「行くぞ、まがい物の半人間。神殿に向けて出発だ」
「ちょっとあんた! いい加減にしなさいよね!」
「そんな心配しなくても、お前はちゃんと継承してる」
そう、なのかしら? でも実感も変化も、全然ないんだけれど。
……あったらあったで困るけど。
それにしてもこの精霊、なんだかさっきからずいぶん機嫌悪そうね?
「あたし、これで本当に精霊になっちゃったの?」
「正確に言えば、肉体は人間のままだ」
「人間のまま?」
「水の力を使えるようになっただけの、ただの人間なのさ。お前は」
『ただの人間』。
いや、嬉しいけどさ、それは。
自分が人外生物の仲間入りしたわけじゃないってことは、素直に嬉しいんだけれど。
でもね、なにか感じない?
棘を。
この精霊の、あたしに対する言葉と態度の端々に。
さっきからずっと、こう、ナイフの切っ先でツンツン突っつかれてるような、不快感を感じるんだけど。
そもそも、この人って風の精霊で間違いないの?
人じゃないけど。
「ねぇ、あなたが水の精霊が言ってた、風の精霊なの?」
「当然だろ。分かりきった事を質問するなよ人間」
……。
「どの世界でも人間ってのは、本当に愚かな生き物なんだな」
……ムカ。
「あぁ、お前は完全に人間ってワケでもないか。言うなれば半人間だな」
……ムカムカ。
「つまり、出来損ないの精霊ってことだが、まがい物でも無いよりマシだ」
……ムカムカムカッ。
「行くぞ、まがい物の半人間。神殿に向けて出発だ」
「ちょっとあんた! いい加減にしなさいよね!」