銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 命。生存競争。世界の理。

 ……重いな。ものすごく重い。

 そんな重大なものに対して、あたしなんかが果たしてどうこう、できるんだろうか……。

 ……ハッ!? い、いけないいけない! ついまた深みに嵌ってしまった!

 ダメダメ、真剣になるのはいいけど、深刻になるのはよそう!

 黙って寝てばかりいるからネガティブ思考に陥るんだわ。

 体動かそう、体! 部屋の中をちょっと歩いてみよう!

 あたしはゆっくりと両足を床に着け、ベッドから立ち上がる。

 ゆっくりゆっくり歩いて……うん、大丈夫。関節が少し軋む程度で、頭痛もないし、なんともないわ。

 よーし、ちょっと試しにラジオ体操でもチャレンジしてみようか。

 白いワンピースの寝間着姿で、腕を振って足を曲げ伸ばす運動をしてたら、扉がノックされた。

「はい? どちら様?」

「食事を……」

「あ、はーい、今開けまーす」

 パタパタと歩み寄り、声を掛けながらあたしは扉を開けた。

「どうもすみませ……」

 ……。

 あたしは、目と口を丸くして目の前の人物を見上げた。

 …………。

 ヴァニス?

 ……え? なんでヴァニスが、国王陛下が、スープとパンが乗っかったお盆持って……

 しかも、エプロンつけて、ここに立ってるの?
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