銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 虹の架け橋。あの虹も滝なんだから、水の仲間だ。
 なら、あたしの力で何とかなるの?でも……。

「どうやって?」
「……あ?」
「何をどうしてどうやれば、精霊の力って使えるの?」
「……」
「だって、あたしって生まれた時からずっと人間一筋だったんだってば!」

 ひくひく表情を歪ませている風の精霊に、あたしは必死で弁解した。

 いきなり精霊の力を使えって言われても困るわよ!

 あたし、新製品のコピー機だって、慣れて使いこなすまでには時間がかかるタイプなのに!

 水の力よ!? 精霊の力! 簡単に使いこなせるわけないでしょ!

「……オレ達にとって、力を使うってのは普通に生きている事と同じ事なんだ」

 風の精霊は、片手で顔を覆いながら声を振り絞る。

「どうやって生きているのか? って質問と同じなんだよ、それは。聞かれても答えようがない」

 ……え……
 えぇっとぉ……。

 あたしも片手で口元を覆いつつ、冷静になろうと努めた。

 落ち着け落ち着け。ここで絶望しても無意味だわ。

 えぇ、絶望からは何も生まれない。

 生まれないどころか、余計に異世界とかに飛ばされちゃって事態は悪化するだけよ。
 もーいや。そんなのゴメンだわ。

 滝。水の力。精霊。仲間。

 そう、今のあたしは水の精霊の力を持っている。そして水の仲間は、あたしの身内みたいなもの。

 だったら、心を込めてお願いすれば、聞き届けてくれるかも?

 困ってる友達の真剣な願いなら、聞いてくれるんじゃない?

 なんだか幼児向け教育番組みたいな発想でちょっと頼りないけど、まずはチャレンジしてみよう!
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