銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 寂しそうに笑うノームの表情が、あたしの胸をギュッと絞めつける。

「そんな事ないわ! ノームはあたしをしっかり守ってくれたわよ!」

「雫の言う通りだ。お前がいなければ、雫は今頃とっくに死んでいたぞ」

「そうで……しょうか……」

「そうよ! ノームはあたしの命の恩人! もう、崇めたてまつっちゃうわよ!」

 それだけじゃないわ。ノームはずっとあたしの傍で、あたしを励まし支え、力になってくれていた。

 どれほど感謝しても足りないくらいよ!

「ほんとですか?」

「もちろんよ!」

「じゃあ、もうわたしに、ひとりで砂漠にかえれなんて言いませんか?」

「ノーム……」

 傷付いたノームが、一途にあたしを見ている。

 その真摯な姿を見ていたら、胸が詰まって泣けてきて、あたしは無言でコクコクと頷いた。

「じゃあ、わたしとしずくさんは、これからもずっとずっと一緒ですね」

「……」

「一緒ですよね。やくそくですよね」

 鼻を啜りながら、あたしは首がもげそうな勢いでブンブン頷く。

 ありがとう。ありがとうありがとうノーム。

 えぇ、あたし達は親友よ。

 もちろん、ずっとずっとこれからも一緒だからね!

「ノーム、本当によく雫を守ってくれた。オレからも礼を言う」

「ジン、砂漠に帰ってしまったかと思っていました」

「帰るつもりだったんだ。だが……」

 ジンがあたしを見た。

 その何とも言い難い表情を見て、あたしの心臓がドキンと大きく鼓動を打つ。

「帰れなかった。どうしても」

 ジン……。
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