銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
「ああ、そうだ。あの時はオレも、お前に大怪我を負わされた」
「……」
「お前には大きな遺恨がある」
「……であろうな」
「それを晴らさせてもらうぜ。今、ここで」
「ジン! 見殺しにするつもりなの!?」
そんなのだめよ! 絶対にだめ! そんな事をしちゃだめなのよ!
後になってから、どうしてあの時って後悔する事になるわ!
ジンにそんな事、絶対あたしがさせない!
「ジン聞いて! あたし……!」
「耳元で怒鳴るなよ。誰も治癒しないとは言ってないだろ」
「え?」
見ると、ジンの両手がヴァニスの腹の上に乗っている。
そこから生まれる穏やかな治癒の風が、ヴァニスの全身を撫でるように覆っていた。
黒髪が緩やかに靡き、ヴァニスの表情はみるみる落ち着いていく。
「狂王、自分が殺そうとした相手に助けられるのはどんな気分だ?」
「……」
「自尊心の強いお前には、屈辱以外のなにものでもないだろう? 最高の復讐だ」
「小賢しい男だ」
「ふん。負け惜しみだな」
あたしはホッと胸を撫で下ろした。
和解とまではいかないけど、とりあえず急場はしのいだみたい。
これでジンとヴァニスが殺し合いなんかになったりしたら、もう目も当てられない。
悲惨なバッドエンドにまっしぐらよ。そうならなくて本当に良かった!
「ジン、偉いわ! ありがとう!」
「……」
「ヴァニスを助けてくれて本当にありがとう!」
「なんでお前が礼を言うんだよ」
「……」
「お前には大きな遺恨がある」
「……であろうな」
「それを晴らさせてもらうぜ。今、ここで」
「ジン! 見殺しにするつもりなの!?」
そんなのだめよ! 絶対にだめ! そんな事をしちゃだめなのよ!
後になってから、どうしてあの時って後悔する事になるわ!
ジンにそんな事、絶対あたしがさせない!
「ジン聞いて! あたし……!」
「耳元で怒鳴るなよ。誰も治癒しないとは言ってないだろ」
「え?」
見ると、ジンの両手がヴァニスの腹の上に乗っている。
そこから生まれる穏やかな治癒の風が、ヴァニスの全身を撫でるように覆っていた。
黒髪が緩やかに靡き、ヴァニスの表情はみるみる落ち着いていく。
「狂王、自分が殺そうとした相手に助けられるのはどんな気分だ?」
「……」
「自尊心の強いお前には、屈辱以外のなにものでもないだろう? 最高の復讐だ」
「小賢しい男だ」
「ふん。負け惜しみだな」
あたしはホッと胸を撫で下ろした。
和解とまではいかないけど、とりあえず急場はしのいだみたい。
これでジンとヴァニスが殺し合いなんかになったりしたら、もう目も当てられない。
悲惨なバッドエンドにまっしぐらよ。そうならなくて本当に良かった!
「ジン、偉いわ! ありがとう!」
「……」
「ヴァニスを助けてくれて本当にありがとう!」
「なんでお前が礼を言うんだよ」