銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
「始祖の神とは我が主。世界で最も偉大なる創造の神である」

「嘘よ」

「決して嘘などでは無い」

「嘘。そんなご大層な神様なら、なぜ復活する為にこんな混乱が必要なのよ」

「それはお前達が、あのお方の表しか見ようとせぬからだ」

 表? 始祖の神の一面しか見てないってこと?

 何言ってんのよ。そもそもそんな古代の神様なんて、裏も表も見た事ないわよ。

「始祖の神は創造の神。そして……」

「そして?」

「創造と破壊は、常に表裏一体」

 ……。

 え? なに?

「異世界の女よ、お前は水の力を持っている。ならば理解できるはずだ」

「理解って、何をよ?」

「大地が肥える前には、氾濫がある」

「……」

「同じだ。創造の前には必ず破壊があり、そしてまた創造がある」

「なにを……?」

 何を……言ってる? 破壊ですって?

 番人の言葉の意味が良く理解できず、あたしは眉を寄せた。

 そんなあたしの隣で、ジンとヴァニスが息を呑む気配がする。

「始祖の神は、数多の神を、ひいてはこの世界を創造した。そして創造の次に来るものは……」

 次に来るものは……。

< 471 / 618 >

この作品をシェア

pagetop