銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
「もうすぐ神と謁見するから、失礼の無いようにしろよ」

 あ、そうか。
 来るって、神様がこれから来るって事なのね?

 人っ子ひとり居なくても、神様だけはここに居るんだったわ。
 あぁ良かった! 安心した!

 ホッと撫で下ろした胸に、今度は新たな期待と興奮が生まれる。

 い……いよいよ神様とご対面かぁ!
 神様って、一体どんななのかしら!?

 初めて精霊と会った時も感動ものだったけど、この緊張感はその比じゃないわ。

 なんてったって『神』よ! 『神』!
 全てを超越せしもの!

 やっぱり、すごく美しい存在なんだろうなぁ。性悪の精霊ですら、こんなに綺麗なんだもの。

 こう、全身から神々しい偉大さが、まばゆい程に輝きを放って……


「……ぐあ~……」

 ……。

 ぐあ?

 ……なに?
 どこかでニワトリが〆られてるのかしら?


「グァ~~……」

 やだまた。
 廃墟同然とはいえ、仮にも神殿でニワトリの殺生だなんて。


「アグア~……」

 あぐあ?

 あ…………。


 ずっと向こうの薄暗いホールの入り口から、人影が近づいてくるのが見えた。

 その人影はヨロヨロふらふら、覚束ない足取りでいまにも転びそうになりながら、奇跡的にバランスを保っている。

「いやだ、酔っ払い?」
「あれが砂漠の神、モネグロスだ」
「……え!?」

 砂漠の神!? 神!?

 ……あれがぁ!?
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