銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
思いのたけ
 え……え……

「えらい! ロッテンマイヤーさん!」

 さすがはお局様! あなたこそクイーン・オブ・お局よ!

 まだ汚染されていない人間もいたのね!

 そうよ! 番人は人間を救いようの無い堕落した存在みたいに言っていたけれど、ほら見なさいよ! 人間だって捨てたもんじゃないわ!

 ロッテンマイヤーさんは床に膝をつき、ヴァニスに語りかける。

「国王陛下、ご無事でよろしゅうございました」

 その声にヴァニスは薄っすらと目を開け、そして弱々しい声を出す。

「まだ……?余を……国王と呼ぶか……?」

 掠れた、途切れ途切れの声。

 誰に語りかけるでもなく、自分自身に問うような言葉。

「妹も守れず、民も守れず、騙され利用され……あまつさえ、この手で破滅への最後の後押しをしてしまった余を」

 ヴァニス……。

 彼は全てが自分の責任だと思っている。この事態を、自分が招いてしまった不始末だと思っているんだわ。

 そんな事ないのに!

 でも彼の目は深い絶望の色に染まり、意思の光がすっかり失われていた。

 そのあまりに萎れた姿を見て、掛ける言葉も見つからず、深く傷付けられた彼の心を癒すすべもない。

「もはや余に国王たる資格は無い。殺されても、仕方ない」

「ヴァニス! そんなこと……!」

「もうそれで愚痴と弱音はお仕舞いでございますか?」

 ……え?
 ロ、ロッテンマイヤーさん?

「でしたら、そろそろお立ち上がり下さい。時間がございませんので」
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