銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
「余が気を失っている間に何処へ行ったのだ?」

「あやつ? あやつとは誰の事か?」

 今度はイフリートが首を傾げる。

 あぁ、イフリートは途中参加だから、事情がまるで分からないのよね。また一から事情を説明するのか……。

「精霊の長の事さ。今や長ではなく『番人』だ」

 ジンが極限に簡略した説明をする。

「番人? それはいったい何の事か?」

「説明するのは面倒くさいんだよ」

 ……そうか。やっぱりジンって、単にめんどくさがりだったのか。

 そうじゃないかとは思ってたけど。

「簡単に言うとね、長はあたし達の全員を裏切って、しかも世界の破滅を目論んでるのよ」

「なに!? 長が我らを裏切っていたと!?」

 イフリートの赤い髪がボウッ!と逆立ち、ピリリと顔に筋が立ち始める。

「精霊の頂点に立つ身でありながら、許されぬ愚挙なり!」

「だ、だからこれから皆で止めにいきましょう!」

 ヤバイ! またキレられたら今度こそ押さえきれなくなるわ!

 その前に早く移動してイフリートの気を逸らさないと!

「始祖の神降臨の場所へ行く、とかなんとか言ってなかったっけ?」

「はい、たしかにそう言っていました」

「ならばそれは、例の三本の石柱の場所に間違いなかろう」

「石柱の?」

 ジンがハッと息を呑み、顔色を変えた。

「しまった! モネグロスが!」

「な、なに? モネグロスがどうしたの?」

 血相変えて慌てふためくジンの様子に、皆が怪訝な顔をする。

「モネグロスが、石柱の場所にいるんだ!」
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