銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
散り行くは・・・
ジンは突っ伏して両肩を震わせ、声もなく泣いていた。
ノームもイフリートも放心しきっている。
ヴァニスは、狂ったように泣き叫ぶアグアさんの声を聞きながら、マティルダちゃんの髪飾りを握り締めていた。
あたし達全員が、アグアさんの例えようも無い苦悩と悲しみを共有し、打ちひしがれていた。
でも……この空間の中で……ただひとり。
その悲しみなど、ものともしない者がいた。
その者は泣き狂う彼女の背後に、音も無く近づく。
そして感情の窺えない目で、ひたすら泣き続ける彼女の姿を上から見下ろして……
「これが、ふたつ目」
そう呟いた。
その言葉の意味に気付いたあたしは、全身から冷や汗が噴き出した。
次はアグアさんを生贄にするつもりだわ! そうはさせな……
――― ドンッッ!
いきなり強烈な風の塊りが全身にぶつかってきて、あたしは勢い良く引っくり返った。
仰向けに倒れたあたしの視界に、ジンとイフリートの背中が見える。
ふたりは突風のような勢いで番人に飛び掛っていった。
見た事も無いような怒りの表情に満ちたジンの全身から、凄まじい風が放出されている。
その風はジンの周囲のみならず、辺り一帯に及んでいた。
風に巻き上がる髪が視界を遮り、両手で髪を押さえながらあたしは懸命に叫んだ。
「アグアさんを守って! ジン! イフリート!」
ノームもイフリートも放心しきっている。
ヴァニスは、狂ったように泣き叫ぶアグアさんの声を聞きながら、マティルダちゃんの髪飾りを握り締めていた。
あたし達全員が、アグアさんの例えようも無い苦悩と悲しみを共有し、打ちひしがれていた。
でも……この空間の中で……ただひとり。
その悲しみなど、ものともしない者がいた。
その者は泣き狂う彼女の背後に、音も無く近づく。
そして感情の窺えない目で、ひたすら泣き続ける彼女の姿を上から見下ろして……
「これが、ふたつ目」
そう呟いた。
その言葉の意味に気付いたあたしは、全身から冷や汗が噴き出した。
次はアグアさんを生贄にするつもりだわ! そうはさせな……
――― ドンッッ!
いきなり強烈な風の塊りが全身にぶつかってきて、あたしは勢い良く引っくり返った。
仰向けに倒れたあたしの視界に、ジンとイフリートの背中が見える。
ふたりは突風のような勢いで番人に飛び掛っていった。
見た事も無いような怒りの表情に満ちたジンの全身から、凄まじい風が放出されている。
その風はジンの周囲のみならず、辺り一帯に及んでいた。
風に巻き上がる髪が視界を遮り、両手で髪を押さえながらあたしは懸命に叫んだ。
「アグアさんを守って! ジン! イフリート!」