銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 あたしは凄い勢いで顔をブンブン左右に振った。

 夢!? あたし、目ぇ開けながら夢みてる!?

 今のってジンの声よね!? なんで!? どうして!?

 なにがどうしてどうなったぁぁあ!?

「ジン―――!?」

『あぁ、やっと気がついたか』

「なに!? これって幻聴!? あたし、ついに頭がおかしくなっちゃった!?」

『安心しろ。これは幻聴じゃないから』

 あたしは爆発しそうな心臓を抱えて飛び上がり、ジンの姿を求めて必死に周囲を探した。

 どこどこどこ!? どこなの――!?

「ジン、あんたどこにいるのよ!?」

『そっちには居ない。こっちの世界だ』

「え!?」

『神々に頼んで、そっちの風を利用して声だけ運んでる。やっとそれぐらいの事が出来るまで、こっちの世界も回復したんだ』

 あたしは呆然としながら、ジンの話す説明を聞いた。

 ……こういう事だった。


 始祖の神は、確かに神や精霊や人間、そして動植物等の命を復活再生してくれた。

 してくれたんだけど……

 建築物その他は、どうやら補償の範囲外だったらしい。

 建物やら、生活必需品に至るまで、全てがゼロになってしまった。

 つまり、着の身着のまま。まるっきり野生生活のような暮らし。

 神や精霊ならまだしも、人間にとってこれは大打撃。せっかく復活したのに、またまた種の存続の危機的状況に陥ってしまった。

 そこでヴァニスが、神や精霊達に手を貸して欲しいと頼んだ。

 自然の摂理を曲げるほどでなくていい。必要以上の事は一切望まない。

 許容範囲で助けて欲しいと。
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