銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 神や精霊はその願いを聞き入れ、弱った力で、それでも懸命に人間の生活を守り支えた。

 人間は、神や精霊のその姿に深く感動し、感謝した。

 信仰が復活したんだ。

 そのお陰で神々の弱った力も回復してきて、少しずつ、全てが元通りになってきているらしい。


「そうだったのね……」

『今、全ての種族が協力し合って生きている』

「良かった。これでもう安心ね」

『どうかな? 時間が経てばどうなるか分からないぞ』

 今は良くても人の心は移ろいやすい。

 記憶はどうしても廃れてしまうものだし。

 100年、200年、もっとずっとずっと未来では何が起こるか分からない。

 でも、それはその時代の問題だ。

 その時代に起きた事は、その時代に生きる者達が解決する。

 自分達の力で、何が大切で何を守るべきかを見極めて、その結果を納得して受け入れ、そうして生きていくべきだ。

 あたし達は解決し、未来へ繋いだ。

 きっと、未来に生きる者達も同じ想いを持ってくれる。

『あぁ、きっとそうだな。未来に生きる者たちを信じよう』

「えぇ。……ねぇ、みんなは? みんなはどうしてる? 元気にしてる?」

『モネグロスはアグアと砂漠へ戻った』

「本当!? 良かった! 幸せに暮らしてるのね!?」

『片時も離れずにベッタリだ。あれでよくまぁ、周りの眷属達から砂ぶっかけられないもんだ』

 どうやら、ジンも呆れるほどのイチャラブらしい。

 オアシスも元通りになって、アグアさんの輝くばかりの美貌も、すっかり元通りになったらしい。

 神の船も無事に復活して、深い緑と青い水と、黄金の砂漠で皆、幸せに暮らしている。
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