銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
「アグアさんを何とか助けられないの?」

「城内のどこに閉じ込められているのか、分からないんだ。探ってみたが駄目だった」

「あぁ……アグア……」

「こんな大変な時なのに、仲間の精霊は何してるのよ?」

「長からして、人間に完全服従だ。皆、逆らう意思を失くしてしまった」

「愛しの君よ……」

「誰も手助けしてはくれないの?」

「お前に力を継承した水の精霊だけが、アグアを救う為に立ち上がってくれたんだ」

「うぅ……アグア~!」

「じゃあ今は、孤立無援な状態なわけ?」

「無論、みんな心の中では不満を持っている。でも行動に移せる状況じゃないんだ」

「うあぁ……アグア――!!」

「精霊としてのプライドは無いの!?」

「きっかけが必要なんだよ。火種がなければ炎は上がらない」

「愛しいアグア――! アグア――!!」

「うるっっさいのよあんたはさっきから!!」

 やかましいわまったく!!

 人が真剣な話をしてる時に、横っちょでピィピィと!

「だいたい、ここで何してんのよあんた!」

 愛する女が、自分への愛故に囚われの身になってるっていうのに、人のハンカチ噛み締めて号泣してる場合じゃないでしょ!?

 何か行動しようって前向きな姿勢はないわけ!? 
 神様でしょあんたは!
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