銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
「着いたぞ」
広い神殿内を延々と歩いて、あたし達はようやく船着場に辿り着いた。
船着場っていっても、ただっ広い空間に、水の代わりの大量の砂が敷き詰められているばかり。
神殿外の砂漠と直通している場所に、たしかに船は置かれていた。
おぉ、想像以上に立派な船ねぇ! あたし、こんなレトロで大きい木造船って初めて見た!
砂の上に堂々と佇む大きな船を見上げれば、滑らかなフォルムの船底が、ずっとずーっと向こうまで続いてる。
高々としたマストに張られている、横型や縦型の真っ白な帆が、いかにも『船!』って感じだ。
帆があるって事は、やっぱり実用性があるのかしら。
単に神様の儀式用とか、インテリアとかで置いてるわけじゃないのかな? でもオールは見当たらないけれど。
そんな風にのんびり船体を観察していたら、「ほら、早く乗れ」ってジンに急かされて、あたしは船に乗り込んだ。
乗ったは良いけれど……。
「で? これからどうするの?」
砂地の上にデーンと居座り、微動だにしない船の上。
まったく動かないじゃないの、やっぱり。
「どうすんのよ。何だか自分がすごく間抜けに見えるんだけど」
「ここからオレとお前の出番だ」
「え?」
「船を動かすのに必要な物は?」
「重油」
「……?」
「あ、ごめん。えーっと、水と風?」
「そうだ」
「あ……」
水と風。
あたしとジンだ。
「さあ、船を動かすぞ。お前の力を貸してくれ」
ジンは上機嫌でそう言った。
広い神殿内を延々と歩いて、あたし達はようやく船着場に辿り着いた。
船着場っていっても、ただっ広い空間に、水の代わりの大量の砂が敷き詰められているばかり。
神殿外の砂漠と直通している場所に、たしかに船は置かれていた。
おぉ、想像以上に立派な船ねぇ! あたし、こんなレトロで大きい木造船って初めて見た!
砂の上に堂々と佇む大きな船を見上げれば、滑らかなフォルムの船底が、ずっとずーっと向こうまで続いてる。
高々としたマストに張られている、横型や縦型の真っ白な帆が、いかにも『船!』って感じだ。
帆があるって事は、やっぱり実用性があるのかしら。
単に神様の儀式用とか、インテリアとかで置いてるわけじゃないのかな? でもオールは見当たらないけれど。
そんな風にのんびり船体を観察していたら、「ほら、早く乗れ」ってジンに急かされて、あたしは船に乗り込んだ。
乗ったは良いけれど……。
「で? これからどうするの?」
砂地の上にデーンと居座り、微動だにしない船の上。
まったく動かないじゃないの、やっぱり。
「どうすんのよ。何だか自分がすごく間抜けに見えるんだけど」
「ここからオレとお前の出番だ」
「え?」
「船を動かすのに必要な物は?」
「重油」
「……?」
「あ、ごめん。えーっと、水と風?」
「そうだ」
「あ……」
水と風。
あたしとジンだ。
「さあ、船を動かすぞ。お前の力を貸してくれ」
ジンは上機嫌でそう言った。