銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
「冗談じゃないわよ! はにわに排除されるいわれは無いわ! 確かにあたしは人間だけど、一応水の精霊の仲間でもあるんだから、そこらへんをちゃんと認識させてよ!」

「それは無理です」

「なんで!?」

「あの番人には、そんな知能はありません。複雑な思考が可能な物は、製作に非常に時間がかかるので……」

「で!?」

「……途中で面倒くさく、なりまして……」

「おーまーえーはあぁ――! 始めた仕事は、最後まで責任をもってやり遂げなさい!」

 なんでこんな、新入社員へのお説教みたいな小言を言わなきゃなんないのよ! 神様相手に!

 青筋を立てて怒鳴りつけるあたしに、モネグロスが慌てて弁解する。

「で、でも大丈夫です! 創造主たる私が命令すれば、番人はすぐ消え去りますから!」

「じゃあ早く命令して! あたしを排除する気満々の、あのはにわ君を退去させてよ!」

「は、はい!」

 モネグロスは両腕を大きく広げて、番人に向かって厳粛な声で語りかける。

『砂漠の番人よ。我の名はモネグロス。そなたの創造主たる砂漠の神の命を……』

―― ブウンッ!

 最後まで聞かずに、番人はまた手を振り上げて攻撃してきた。

「ちょ……!? どういう事よ!? 話が違うじゃないの!?」

 ジンの守りの風が船を浮かし、ギリギリ避ける。

 叩きつけられた番人の腕が、激しい砂埃を舞い上げて、周囲の視界を黄一色に染める。

 大量の砂を浴びて、あたしもモネグロスも激しく咳き込んだ。
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