【短】ねぇ、虎助

「貴方に会いたかったから」
「あんなに震えていた。お陰で私は敵を逃がした」
「ひとりはやった」
「雑魚です」
「敵には違いないわ」


 私の言葉に、小さく息を吐く。


「本当に、お喋りな人ですね」
「貴方と話がしてみたかった。もう、ずっとよ」
「その口を、塞いでほしいのですか?」


 虎助の瞳に、私が映った。


「ええ、いいわ」


 虎助の目が見開かれる。

 その顔に、私から口付けた。





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