君は何を見ているの?
「ないよ。」


「・・・は?」


「だから、紙なんてないよ。」


あまりのことに俺は開いた口が塞がらなかった。


「だって、紙に書いたの読むだけじゃつまらないでしょ?」


「おまっ!本気で言ってるのか?」


「嘘だと思う?」


嘘だと思いたい!


だが茜ならやりかねない。


「じゃあ、一応考えてはきたのか?」


「それなりにはね。」


「それなりって・・・。」


「それは、入学式でのお楽しみ!」


「楽しみじゃねえよ。」


逆に茜の挨拶が終わるまでこっちが緊張する。


絶対何か変なことを言う。


普通の挨拶をするなんて考えられねえ。


てか、紙に書いていない時点で絶対何かが起こる。


だがここまできたらもう遅いと分かっている俺は、少しでもましでいてくれと願いながら高校に向かった。
< 5 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop