君は何を見ているの?
「あぁ、急にこんなこと聞いたら困るよな。俺は、安部 香月(あべ かづき)。これからよろしく。」


「俺は、宇佐美 武。よろしく。」


「急に聞いてごめん。俺の悪いところなんだよな。慣れ慣れしくてさ。本当にごめん!」


子犬のようにシュンとされてしまい俺は慌てて首を横に振った。


「いや、気にしてない。」


(第一印象とは少し違うな・・・)


「なあ、武って呼んで良いか?俺のことは香月で良いから。」


「ああ。」


「そう言えば、武は今日の入学式の挨拶するやつ知っているか?女子みたいだな。」


いきなり茜の話題になり、顔を強張らせると香月は不思議そうな顔をした。


「どうした?急に顔を強張らせて。」


「・・・・いや。」


「その女子のこと知ってるのか」


「・・・。」


「知ってるのか。中学一緒とかか?」


「・・・幼なじみ」


俺がそう言うと、香月は目を光らせた。
< 8 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop