光源氏の腕の中【仮】

②帝の心

・・・

どんなに想っても、想っても、

決して手に入れる事の出来ない女。

体は手にしたものの、

心はそこにはいつもなかった。

こうして抱きしめていても、

接吻しても、

いつも想いが通じる事はない。

・・・

恋とは、

こんなにつらく、悲しいものなのか?

初めて人を愛した私にとって、

苦痛の何物でもなかった。

そう思っているのに、

朱音が見せる笑顔が、

涙が、ちょっと怒ってる顔が、

こんなにも愛おしい。

・・・

そう思える自分が、

幸せだと感じているのも事実。

・・・

朝、

目覚めても、

この腕から、朱音を手放すのが

惜しいと感じていた。
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