光源氏の腕の中【仮】
「夜になると、朱音は変わる」

「・・・」



「潤んだ瞳で私を見つめ、

眠っている時は、いつも、

私の着物を離さぬ・・・」


…潤んだ瞳…

それは私への抵抗。


着物を離さぬ…

それは、私を受け入れられず、

眠れない朱音が取る行動。



「…帝様」

それ以上の言葉を、

私は言わせなかった。

嫉妬し、こぶしを握る光源氏を

優越感に浸りながら、

最後に言った。


「朱音は私のモノだ。

どんなに想っても、

光源氏、そなたのモノには、

一生ならぬ」

光源氏を見つめ、

冷笑した私は、その場を去った。
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