光源氏の腕の中【仮】
医者は出ていき、

「お菊、そなたも席を外せ」

そっぽを向いたまま、

帝が言う。

・・・

お菊は、静かに頭を下げ、

部屋を出ていった。


・・・

部屋に残った私と帝。


優しい風が、

部屋に舞い込む。


でも、

私も帝も、浮かない顔・・・


・・・

私は、気づかれぬように、

お腹を触った。


・・・

お腹に宿った小さな命。

愛しくて愛しくてたまらない人の子供。



・・・そう。

それは光源氏の子供。


私は、光の子を授かってしまった。
< 123 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop