光源氏の腕の中【仮】
【光side】

簡単に着物を羽織り、

玄関へと急いだ。

・・・

「何事ですか、こんな朝早く?」

使者に向かって問いただす。

・・・

使者は、頭を下げた。

「申し訳ありません。

帝様より伝令でございます。

夕刻、正装をして、源氏の君様、

そのご友人、朱里様お二人で、

邸宅に参るよう・・・とのこと。

大臣たちも一同集まりますゆえ、

遅れることのないよう・・・」

・・・

「・・・承知した」

・・・

私の答えを聞くと、

もう一度頭を下げた使者は、

帰っていった。

・・・

帝は一体何を考えてる?

大臣たちまで呼び出し、

さほど位の高くない私まで呼び出して。

しかも、朱音まで・・・

・・・

まさか・・・

私は踵を返し、朱音のいる部屋へ。

朱音は、帝になどやらぬ。
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