チョコレート化学実験。
「…コ、コアです…。」
糖分を摂取したはずなのに、こんな答えしか、言い訳が思い当たらない。
羽菜はじっと古くて黒づんだ床を見つめた。
「いいや、あの風味、油分の量、該当する答えはチョコ以外考えられない。」
先輩は得意そうに眼鏡をくいっとあげて敵を追い詰める。
「ちなみに。」
「…はい。」
「今日はなんの日か、知っているか?」
「……っ」
こ、
これは…。
「…そう。世間でいう、バレンタインだ。」
ほぼバレている…っ
羽菜は胸に板チョコを握りしめながら固まってしまった。
鏡を見なくても分かる。
多分、今とてつもなく、顔が赤い。