チョコレート化学実験。
“手紙も、年賀状も、誕生日プレゼントも。貰ったら必ず返す。気持ち悪くないか、そういうの、返さないと。挨拶を無視するような、そんな気持ち悪さがさ。”
先輩は眼鏡をくいくいいじっている。
どうやらさっきの衝撃で少し曲がってしまったらしい。
“かといってアレは、他とは別の気持ちが入っているからな。あの人にものは返せても、さすがに同じ気持ちは返せない。返せないものは受け取らない。”
珍しく饒舌な先輩に、羽菜は一言、そうですかと言った。
そうですか…。
羽菜のカバンの中で、渡せそうにもないチョコレートがカサカサ鳴った。