チョコレート化学実験。


“手紙も、年賀状も、誕生日プレゼントも。貰ったら必ず返す。気持ち悪くないか、そういうの、返さないと。挨拶を無視するような、そんな気持ち悪さがさ。”

先輩は眼鏡をくいくいいじっている。

どうやらさっきの衝撃で少し曲がってしまったらしい。

“かといってアレは、他とは別の気持ちが入っているからな。あの人にものは返せても、さすがに同じ気持ちは返せない。返せないものは受け取らない。”

珍しく饒舌な先輩に、羽菜は一言、そうですかと言った。


そうですか…。


羽菜のカバンの中で、渡せそうにもないチョコレートがカサカサ鳴った。





< 5 / 13 >

この作品をシェア

pagetop