二人の兄に激甘警報発令中!
今から10年前の事。
私は剣くんと出会う前まで、人と話すことが全く出来なかった。
小林さんはそんな私を変えようと必死だったみたい。
剣くんが孤児院に入ってきたのは私が3歳の時。
生まれてすぐに孤児院に入った私は小林さんと孤児院にいる知らない子供達しか知らなくて、剣くんが孤児院に来た時は、剣君を酷く拒絶したらしい。
私の反応を気にする事無く、剣くんは私に近づいてくれた。
「彩羽ちゃん、小林さんが絵本読んでくれるから一緒に聞こうよ!」
満面の笑みで私に微笑んでくれる剣くんとは対照的に無表情の私。
「……。」
小林さんはそんな私達を微笑ましく見ていたそうだ。
私は剣くんに左手を掴まれ、無理矢理立たされた。
それに少しビックリした私は目を少し大きく開いた。
私が少し表情を変えただけで剣くんは満面の笑みになった。
「彩羽ちゃんは笑った顔が一番可愛いよ!僕みたいに笑ってみて!」
私は剣くんの笑顔を見て安心したのか、肩の力がすっと抜け、強張った表情は剣くんの表情に近づいた。
「うん。」
力んでいた左手から力を抜き、ぎこちなく笑った。