*。:.゚ボクとアナタとチョコレートと゚.:。 ゚【BL】
――パタン。
「あ、あの……香弥さっんぅ!!」
ドアを閉めた直後に俺は彼のメガネを外してナツくんの小さな唇にかぶりついた。
だって、もう限界。
可愛いナツくんが欲しくて欲しくてたまらないんだ。
こんなに俺をナツくん漬けにしたのはナツくんのせいだ。
「ん……んっ」
唇にむしゃぶりついて、熱い口内に舌を入れる。
こうして二人きりになると常にキスする俺――。
少しは慣れてくれた俺の口づけに、ナツくんは入れた舌をおずおずと絡めて返してくれる。
その不慣れな仕草も可愛くって、すべてを奪いそうになってしまう。
だけど、実はまだそういった行為はしていない。
ナツくんを大切にしたいから……。
今までの俺なら、付き合っている相手と会うとすぐ身体を求めるのに、これも考えられなかったことだ。
それだけ、ナツくんが可愛いっていうことだ。
「ん…………」
だけど、ナツくんの官能的な声が俺の中心に響く。
欲しい欲しいと思うのも事実だ。
もたげてきた感情に蓋をするべく、ナツくんと唇を外す。
絡ませ合った舌と舌に唾液の糸が繋がるその先――俺のキスが気持ちよかったんだろう。
ナツくんの黒い瞳が潤んでいる。
可愛すぎる……。
ああ、これ以上いると、ほんとにヤバい。
和がいるのにこの場で組み敷いて奪ってしまいそうになる。
だって、現に今俺の視線に映るのは潤む瞳を向けて頬を赤らめるナツくんと、後ろにあるベッドだ。
「和の様子を見てくるね」
俺は後ろ髪を引かれる思いでナツくんにメガネをかけ直してあげて、なんでもないふうを装って背中を向けた。
ガチャ……。
そうしてナツくんの部屋のドアを閉めて蠱惑的な彼を視界から除外する。
あまりに奪いそうになって急いでいたから気づかなかった。
視界からナツくんを追い出す時の、彼の悲しそうな表情に……気づいてあげられなかったんだ……。
それを知ったのはその後――……。