*。:.゚ボクとアナタとチョコレートと゚.:。 ゚【BL】
「ナツくん、好きだよ。
誰よりも……今まで付き合ってきたどの人間よりも君が……」
ナツくんの心に直接語りかけるよう、ゆっくりと告白する。
「さっき……用事は終わったって……」
「ナツくんといるとね、俺は君を奪いたくて仕方がなくなるんだ。
だけど、もっと一緒にいたいっていうのも事実でね……どうしようかと思ってしまう」
言って、意気地のない自分に苦笑を漏らす俺。
「奪ってくれていいです。
僕、貴方が手を出さないのはきっと魅力がないからだと思ってました」
ぐすん、と鼻をすすり、一生懸命言葉を連ねるナツくんが可愛い。
ぽそり。
言ったナツくんの赤く染まった顔。
だけど少しずつ挑むような目つきになっているのは気のせいだろうか。
しばらく彼の顔を見つめていると……。
「だったら抱いてください……。
僕をここに連れてきたの、そう言う意味も含めてだと思わせて……?」
「!!」
ズクン。
ナツくんの予想しない言葉に、俺の心がさらに膨らんだ。
なに、その殺し文句。
これ以上俺を落としてどうするの!?
「っ……!!」
そう言ったナツくんは肩を竦ませ、震えている。
さっき俺を誘惑したのに?
恥ずかしがるの?
ナニそれ。
ああ、もう無理!!
がバッ!!
「あわわっ」
ナツくんを強く掻き抱き、耳元に唇を持っていくと、息を吹きかけるように告げる。
「知らないよ?
どうなっても。
初めはすごく痛いんだ」
今までだってずっと彼を欲しいと思った。
だけど、こうして今の今になるまで抱かなかったのは、痛い思いをさせたくないという気持ちと、もうひとつ……。
「……っん、いいです。
大丈夫、きっと香弥さんなら……」
「嬉しいな。じゃあ、もう止めないね」
いつまでもウジウジするのは俺じゃない。
だからナツくんを抱くと告げて、にっこり笑って可愛い小さな唇にひとつ口づけを落とす。
異性よりも同性の方が身体を繋げることは難しく、より困難なものだ。
まだ何も知らない彼は、今日を知れば、今後俺に抱かれるのもイヤだと言うかもしれない。
そう、それこそが俺がもっとも恐れていた部分だった。
ナツくんに嫌われたくない。
その思いがあるから、二の足を踏んでしまう。
そうならないようにしなければ……。