*｡:.ﾟボクとアナタとチョコレートとﾟ.:｡ ﾟ【BL】

★その後のふたり★

「で？

どれがいい？」


香弥さんはにっこり笑って、そう言った。



え？

どれって言われても……。



だって、机の上にあるチョコレートは全部僕にって作ってくれたものなんでしょう？


だったら……だったら、選べるわけないじゃない。



「全部……いただくのはいけないですか？」


香弥さんを直視するのが恥ずかしくて、机の上にあるチョコレートを見つめながら――。


だけど香弥さんがどんな表情をするのかが気になって、ちょこっと香弥さんに目だけを動かしてそう言ってみる。


そうしたら……。


パフン。


「へ？

あわわっ！！」


僕は隣にあったベッドに押し付けられた。


目の前には香弥さんの真剣な顔がある。


「あ、あの！！」


いつもニコニコ笑って、笑みを絶やさない香弥さん。


その香弥さんは、すごく真剣な表情で僕を見つめている。


――もしかして、僕。

ものすごくいけないことを言ってしまったのかもしれない。



……全部とか、なんて意地汚いヤツなんだろうって思われたのかな。



「あの……」



バクバク、バクバク……。

不安になって、さっきまでとは違う心臓の音が鳴る。


この心音は、悲しい音色だ。



「香弥さっ……んむっ！！」


ごめんなさい。



謝ろうとして唇を開けたら、同時に僕のメガネを外された。


そしてあたたかくて柔らかい感触が口に当たっている……。


「ん、んむぅ……」


慌てる僕は、足やら手をジタバタ動かして、押し付けられているベッドから抜け出そうとするのに抜け出れない。


動けば動くなるほど拘束される僕の身体は、香弥さんに抱きしめられている。



そこで理解したのは、僕の口に当たっているあたたかくて柔らかい何かは、香弥さんの唇だってこと！！



「ん、んぅ……ん」


――香弥さん！？

どうして？

なんで僕はキスされてるの？



突然のことで頭の中が真っ白になってしまった。