バレンタインデーだから
着いた先は想像通り、ラブホテルだった。

右手にガトーショコラが入った紙袋をしっかりと持ちロビーへ入る。

部屋の一覧は、一つだけ光っている部屋があった。

あとはすべて光が消えていた。

「残りひとつの部屋ですよ!」

「運が良いね。こんな状態初めて見た」

「バレンタインデーだからですね」

浅野さんは頷き、残りひとつの部屋の番号を押した。

それと同時に光が消えた。

後から来るカップルには申し訳ないが満室。

カウンターの奥から年老いた店員さんが現れ、鍵をくれた。

エレベーターに乗り、ところどころに光っている矢印に案内されて506号室へたどり着いた。
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