大好きでした。そして大好きです。

この胸の高鳴り



私は青陽学園2年B組、立花春(タチバナ ハル)。
この学園のアイドルと名高い今井雪(イマイ ユキ)とは小学校からの付き合いで親友。

小さな頃からモテモテで、でもそれを自慢することなくとてもいい子だった。
彼女のことは大好きだったし、妬むこともなかった。


それに比べ私はそこらにいるような女の子。
頭は中の中。運動神経だってそんなによくない。
ついでに、可愛らしいといった容姿でもない。

そんな私の憧れで大好きな彼女。




それと同じくらい大好きな人ができたのは高校1年の秋。





私はA組で、雪ちゃんはC組で文化祭の時、私は運命の人を見つけた。




それなりに仲がいい子と一緒に荷物を持っていたときだった。
仲良く先生に頼まれたものを教室に運んでいたのだけど、周りは文化祭一色。
廊下に出てキャッチボールをしていた男子がいたのだ。


『行くぞ!ちゃんと取れよ!』

『わかってるって!』


そんな会話が耳に入り、こんなところでしてたら危ないのに、と思ったときだった。


『危ないっ!!』


『え?』


振り返れば、一直線に私のところ向かってボールが飛んできていた。
反射的に目を瞑り、衝撃がくる、と構えていたがいつになっても衝撃はこなかった。
目を開けると荷物を持つ私の前に”彼”がいた。


『大丈夫?』


黒の短髪にきりっとしている瞳。
きちんと着こなされた制服。
見た目は優等生だった。


『あ、ありがとう』


『どういたしまして』


その後彼はキャッチボールを投げて遊んでいた男達に『喝をいれてくる』と爽やかな笑顔を残して去っていった。


私は忘れられない。


あの時の彼の笑顔も。
あの時の胸の高鳴りも。



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