大好きでした。そして大好きです。

悲しみの連鎖




春。


それは私の一番好きな季節。



誕生日があるから。

桜があるから。

私の『春』と同じだから。


理由はいっぱいある。


今年高校二年生に進級して、親友の雪ちゃんと同じクラス。



そして、




好きな人とも同じクラス。


だけど、それは嬉しくもあり悲しくもある。


私の好きな人は私の親友と恋人だから。



彼が雪ちゃんと付き合っていた、と知ったのは高校一年生の冬。

雪が降っていた時だった。




「あたしね、…じ、実は…明羅、くんと付き合ってる……の」




親友である雪ちゃんに私の気持ちを伝えたことはない。

私だけの秘密だったから。


でも、まさかそのせいで雪ちゃんと明羅くんが付き合ってしまった、とも言える。

私は何が何だか分からず、とりあえず、「そう、なんだ」とぎくしゃくしながらおめでとうといった。


溢れ出しそうな涙を抑えて雪ちゃんに笑顔で伝えた。



「よかったね」



そういった後雪ちゃんは嬉しそうに「うんっ」と喜んだ。

その後一緒に帰ろうと言われたがそんな気分ではなかったので断ってひとりで帰った。


その途中ひとつの公園を見つけて、久しぶりにブランコを漕いでみた。


真っ暗な中、その小さな公園にはブランコを照らす電灯がひとつだけあった。



光は私を照らしたが、そんな光とは裏腹に私はひどく暗かった。



あぁ、と声を漏らしゆっくりと立ち上がった。







「失恋、か」







最後に流せなかった涙を流し、私は家へと足を向けた。






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