フルスイング【危険】
プロローグ
「はぁ…はぁ…」
吐く息は白いまま、夜の空気に溶けていく。
走りつづけた足は冷たい風に吹かれて痛み出したが、そんなのはもう関係なかった。
「もうやだ…やだよぉ……」
また大怪我をさせてしまうのだろうか。
そんなのはもう、耐えきれない。
誰かを傷つけてしまうのは、とても怖い。
今までは運が良かっただけなのかもしれない。
下手したら大怪我だけじゃ済まなくて、その足で二度と立てなくなるのかもしれない。
その手は二度と上がらなくなるのかもしれない。
最悪、その命さえも…。
「こんな体質、もう嫌だよぉ…!」