moment
「あら、魅影。まだいたの?」
そう、この人がいる限り。
「もう行きますから。」
「あら、そう。はやく出ていってくれる?目障りなの。私は魅光さえ居れば構わないもの。」
「...はい。」
魅光(ひかり)というのは私の双子の姉である。
たった数秒、数分の差で産まれた姉妹の運命は生まれたときからスタートラインが違った。
先に産まれた姉は''光''の文字を貰い、たった数秒、数分の差で産まれた妹は''影''の文字をもらった。
''光''である姉はすべてをてにいれ、''影''である妹はなにも与えられずに育った。
世界的大企業である桜音原財閥の長女である。
その事実だけで姉はすべてをてにいれられる。
次女、いや、存在自体を知られていないあたしはなにも与えられない。