世界を濡らす、やまない雨


一人で食べるお弁当はあまり味がしない。

黙々と食べていると、後ろから数人の女性社員の笑い声が聞こえた。


「ねぇ、それちょっと言いすぎ」
「そうだよ、もし────さんに聞かれてたらどうすんの」

笑いながら、誰かの発言を諌める声。

けれどそれは冗談っぽくて、あまり本気だとは思えない。


無性に気になって振り返ると、後ろで談笑しているのは顔も見たことのない他の課の社員達だった。


「でもムカつくんだもん、────さん。ちゃんとしてくれないから、あたしの仕事が増えるばっかり」

不満そうな顔をした一人の女性社員が、紙パックのジュースをストローで吸いながら不平を言っている。


どうやら彼女達は、同僚の誰かの噂話をしているらしい。

それも、悪い方の。


私は彼女達から視線を反らすと、再びお弁当を口に運んだ。

できるだけ彼女達の話を聞かないように、無心になって……


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