世界を濡らす、やまない雨




向かいに座っている角谷が、コトっと小さな音をたててテーブルに箸を置いた。


「何だか浮かない顔してるね」

角谷にそう言われてはっとする。

顔をあげると、角谷が眉尻を下げてこちらを見つめていた。


私の目の前には、ほとんど飲んでいないのに氷が解けて水っぽくなったカクテルのグラスと、小皿に取り分けたサラダが手をつけられないまま置いてある。


「ごめん。他にも誰か誘えばよかったね。俺と二人だけで飲んでもつまらないよね」

角谷が口元に困ったような笑みを浮かべるのを見て、私は慌てて首を横に振った。


「そんなことない。今日、角谷くんとごはんを食べに行くことは楽しみにしてたよ」


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