世界を濡らす、やまない雨
そう、
本当に楽しみにしていた。
こうして向かい合って座る角谷の印象は、高校三年生のときと変わらない。
話し方も仕草も、彼の持つ全てが吹き抜けていく風みたいに爽やかだった。
角谷が話しているときは本当に楽しい気持ちで彼の話を聞いているのに、話が途切れて少しの間が空くと有里のことを思い出してしまう。
私を置いて去っていった有里の背中。
いつまでも耳に響くヒールの音。
角谷が話を止めると、その隙をつくように有里が私の心を支配する。