世界を濡らす、やまない雨

「私、話するのが下手なの。それに、基本的には性格暗いから」

当時のことを思い出しながら、苦笑いする。

すると角谷は、きりっとした目で真っ直ぐに私を見つめた。


「そうかな？でも、道木さんだって一度くらいはあったでしょ。自分の気持ち、ちゃんとわかってほしいとき」

「どうなんだろう。よくわからない」

苦笑いを浮かべながら、ほんの少し首を傾げる。

角谷はそんな私を見つめたまま、ゆっくりと口角をあげた。


「人は好意を持っている人間の話をつまらないとは思わないんじゃないかな」

角谷のその言葉の意味を理解しかねていると、彼は私を見つめたまま言葉を続けた。


「だからもし、道木さんが話したいっていう気持ちになったときは何でも話してよ」