世界を濡らす、やまない雨
角谷の話す言葉の意味を図りかねながらも頷くと、彼は私を見て満足そうに笑った。
それから少しして、私は角谷に仕事のことを話してみた。
誰にでもできるような事務処理の仕事の話なのに、角谷は私の話を熱心に聞き、話題が膨らむように時々質問をしてくれた。
角谷が相槌を打ちながら熱心に話を聞いてくれるから、私もつい、もう少し話してみようか……という気持ちになる。
私が角谷に話したのは、自分がしている仕事の内容だけ。
だがそれでも、角谷に話せることは意外にたくさんあった。
一緒に住んでいる怜には、自分が具体的にどういう仕事をしているのか話したことはない。
彼は私が日々会社で何をしているのか全く知らないし、興味も示さない。
だから、自分のことを誰かにこんなに話したのは初めてだった。