世界を濡らす、やまない雨


偶然再会した、高校三年生のときのクラスメイト。

ただそれだけの関係でしかない角谷。

いくら聞き上手だったとはいえ、そんな彼に何分も自分のことを話した。そんな自分に驚いた。


食事を終えて店を出た私は、自分の身体がすっきりと軽くなったように感じた。


会社に行くと、また有里に無視されるかもしれない。

課長が次の行動に出てくるかもしれない。


降りかかる問題は未解決のままで、私を不安にさせる。


でも、角谷に話をしていたその間だけは私の心から不安も悩みも消えていた。


高校三年生の秋から、もう何年も経つ。


それなのに、角谷はやっぱり私の心から憂鬱を取り去ってくれる一陣の風だった。


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