世界を濡らす、やまない雨
怜────
頭を動かして、隣で眠る怜に視線を向ける。
私に背を向けて身体を横たえる彼からは、静かな寝息が聞こえていた。
怜の背中をしばらく見つめたあと、私は灯りの消えた暗い天井を見上げた。
枕元に近い窓から、ぽつぽつと水滴が地面を打つ音が聞こえてくる。
その音は少しずつ間隔を縮めていき、やがて流れるような雨音に変わった。
瞼を閉じると、真っ暗な世界で雨の音だけが静かに響く。
このまま眠りにつこう……
うつらうつらとし始めたとき、穏やかだった雨が、突然激しい音をたてて地面を打ちつけ始めた。