世界を濡らす、やまない雨
私達はお互いに少し距離をとって座って、角谷の淹れてくれたコーヒーを飲んだ。
何もかもが綺麗に整えられた、大きなダブルベッドが置かれた部屋の中、私達がコーヒーを啜る音が静かに響く。
しばらくしてコーヒーを飲み終わり、手の平の中で白いカップを弄んでいると角谷が私の名前を呼んだ。
顔を上げて振り向くと、角谷はきりっとした真っ直ぐな瞳で私のことを見ていた。
「道木さん」
「はい」
小さな声で返事をすると、角谷が言った。
「道木さん。自分の気持ち、ちゃんとわかってほしいとき……そのときは、何でも話してよ」
以前にも、角谷に同じことを言われたことに気がつき俯く。