世界を濡らす、やまない雨




中学三年生になって、私と佳乃は別々のクラスになった。


別々のクラスになっただけでなく、教室も階がひとつ違って簡単に行き来ができなくなった。


佳乃とクラスが分かれてしまったことは不安だったけれど、それまで彼女と過ごしてきた二年間で少し人脈ができていたおかげで、新しいクラスに馴染むのにほとんど苦労はしなかった。


クラスが分かれてから佳乃と一緒に過ごす時間は格段に減ったけれど、廊下ですれ違えば手を振ったし、少しおしゃべりだってした。


高校受験を控えた、中学生活最後の年。

それはそんなに悪いものではなかった。


中学三年生の二学期半ばになって、ある噂を聞くまでは……



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